管理費滞納

相談事例

第一回のご相談です。

ご相談者はA・Hさん、200戸位の管理組合の会計担当理事をされているそうです。

ご相談内容は、管理会社から管理費延滞が半年を超えた区分所有者がいるが、管理委託契約に書かれている督促行為は全部やったけど支払いがないので、管理組合に戻されましたが、どうすべきですか?

(HAJIMEの回答)

区分所有者は管理費や修繕費積立金を管理組合に支払わなければいけません。管理会社は管理業務委託契約に基づき管理組合の集金業務を行います。その期間は3~6ケ月程度です。一般には、延滞者に電話で督促したり、督促状を送ったり、場合によっては延滞者の自宅を訪問したりします。また、後日の法的手続きのために内容証明郵便で督促状を発送ることもあります。

それでも区分所有者が支払わなければ、業務委託の範囲を超えたとして管理組合に戻されます。(管理会社との業務委託契約には、管理会社が督促行為をどこまでするか規定されています。)

それでは、管理会社から戻ってきた場合に管理組合としてどうすべきでしょうか。

  1. 管理会社の担当者から、延滞したものに対し、どのような行為をしたのか、延滞者はどんな反応だったのかをしっかり聞き出すことが大事です。また、延滞者との交渉記録ももらわなければなりません。これは、今後の債権回収を円滑に行うためと、管理会社が業務委託契約通りの行為を確認するためです。
  2. 延滞人がどのように理由で支払いをしていないのかは重要なことです。金銭的に管理費などを支払う余裕がない事案だけではなく、管理組合や管理会社に対する不平のある場合もあります。その場合は、本人との交渉で不平・不満が解決されれば、すぐ支払ってくれる場合があります。
  3. 同じマンション内の住民ですから、延滞者宅を訪問しましょう。その際、他の管理組合役員の方と必ず二人以上で訪問しましょう。一人だと、後から「言った言わない」などのトラブルが起こりやすくなります。
  4. 延滞者に延滞理由をしっかり聞きましょう。支払い意思があるかも確認しましょう。
  5. 分割でも支払い意思がある場合は、同じマンションに住んでいる者どうし、なるべく延滞者の要望に沿った返済を認めてあげましょう。ただし、管理規約に認められた延滞者に対する損害金や法的手続き費用などは免除してはいけません。後で他の区分所有者から役員の責任を追及されます。管理組合役員は、職務の執行については、善良なる管理者の注意義務が課されています。
  6. 延滞者の支払い意思がないときは、法的手続きになる旨を告げて、外部の弁護士(延滞額が少額なら司法書士でも可)に相談しましょう。弁護士等に相談する前に、何度も訪問して延滞者にプレッシャーをかける方法もありますが、後で個人的な恨みを受ける場合がありますのでほどほどに。
  7. 延滞者のとの交渉で最も大事なことは、交渉内容を記録することです。そのためには、交渉の最後に、相手の主張や要望を復唱確認することが大事です。特に分割払いの約束を取り付けたなら、後日約束内容を書面に印刷して、ご本人の印やサインをもらうようにしてください。万一の訴訟の重要な証拠になります。
  8. 尚、延滞する者はその場逃れの言い訳をしやすいものです。その様な者に長くかかわるのは時間的にも、精神的にもたまったものではありません。訪問の結果、支払いのめどが立ちにくい場合は、費用が掛かっても法律家に相談しましょう。弁護士・司法書士ばかりではなく、マンションについて精通したマンション管理士などに相談することも良いと思います。
  9. 尚、区分所有者に対して法的手続きをとる場合は、組合員総会の決議が必要な場合もあるので、ご注意ください。

以上

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