昨夜、新宿区の高田馬場周辺でマンションの地下駐車場の防火設備が誤作動する事故が起きたらしい。今現在で、4名が死亡しているとのこと。
実は、この手の事故が昨年末から頻発している。死者も多い。
昨今のマンションは敷地が狭いので、マンションの地下に機械式の駐車場を設置しているものが多くなった。マンションの1階に機械式のエレベータータイプ駐車場入り口を設置し、自動操作で地下の駐車場所に送り込むタイプだ。
このタイプは車の駐車場所には人間は入らないのが通常だ。
今回事故があったマンションもこのタイプらしい。
駐車場は、ガソリンなど引火性の高い物質を保管している車輛を保管する場所なので、消防法上の規制が強い。昔は泡消火設備をつけているマンションが多かった。これは泡消火剤(泡状の消火剤を圧送された消化水に混ぜたもの)をまいて火を泡でおおって消化するタイプである。これは基本的には消化水なので、それ自体の危険性は少ないが、有事には駐車場全体に一斉にまくので、後始末が大変だ。
今回使われていた防火設備は、消化場所を密閉して二酸化炭素などを含有する不活性ガスをまいて駐車場内の酸素量を減らして消化する方法だ。だいたい作動すると1分以内に密閉されたガスが充満し消化される。
問題は、ガスが充満する場所を密閉しなければならないことだ。密閉に失敗するとそこから空気が入ってきて消化できなくなるのだ。ということは、密閉場所に閉じ込められたら、火と同様に人間も窒息する。
そのために、この方式は人間が稼働させるのが原則だが、普段人間がいないのが状態のところでは、火災警報器と連動して自動で作動させることも認められている。とはいえ、機械だから故障する場合もあるので、閉じ込められた場合に備えて、緊急停止装置の設置も義務付けられている。
しかしながら、今回は消化装置が誤作動し、緊急停止ボタンも作動しなかったようだ。
おそらく、壁の塗装に入った作業員が、死の危険があるこの装置の概要をしらず、非常停止ボタンの位置を知らなかったからと思われる。
問題は、この作業員たちが知らなかったことが、誰の責任かということになる。
死の危険性ある場所で、その危険性を知らせなかった作業依頼者である管理組合に責任が回ってくる恐れがあるからだ。その場合は、区分所有者一人一人になにがしかの損害賠償責任が発生するかもしれない。マンションの防火管理者は消防署だけでなく、区分所有者からも責任追及されるかもしれない。
そうならないように祈っている。
最後に亡くなられた作業員の方々のご冥福を祈りたい。
HAJIME