マンション管理のIT化

マンションコラム

マンションの管理は人による管理が主体であり、ロボットによる管理はまだ遠い時代の話だろう。ということは、マンション管理のコストはどの管理会社に頼んでも管理の質を下げない限り、ほとんど同じといってよい。そこで、マンション管理会社は、人件費など経費のやりくりに汲々としている。

昔は、新規マンション建設時は、いわゆるデベロッパー系の管理会社(建設・分譲した建設会社の子会社)が建設したマンションの管理組合を設立し、管理組合の役員も決め、その結果何も知らない管理組合との間で管理会社に有利な管理業務委託契約を締結していた。

そこに、管理費削減を金看板とする独立系の管理会社が入り込む余地があった。

ところが、独立系の管理会社が多くのマンションを管理し始めると、管理費相場が下がり始めた。そこでどの管理会社もいわゆる合理化が必要になった。

管理会社の合理化策としては、まず直接雇用者の人件費の節約である。

直接雇用の管理人や清掃員の給与基準を法定の最低賃金に抑えたり、いわゆるフロント社員の一人当たりの担当件数を増やしたりしていた。

次に下請けを増やして、自社で直接行わなければならない管理業務を減らすこともしている。

また、受託マンションの経理・出納作業やマンション住人の名簿作成作業など管理作業のIT導入による経費節減なども行われた。

ところが、ここ数年の法定賃金の上昇や有給休暇の取得強制は管理会社を直撃した。

また、管理会社の大きな収入源であった委託されたマンションの修繕や検査業務の下請けも同じ理由で下請け会社のコストが上昇したため、下請け金額も上昇している。

実際、ここ数年は管理組合の管理費値下げ要求には応じられない状況が続いている。

かえって、マンション管理費相場はここ5年程度で20%程度上昇するだろうともいわれている。

このような状況でマンションの管理費を下げること(少なくても上げないこと)はできるのだろうか。

そこで、考え出されたのが、マンション管理業者への委託管理から、マンション管理組合による自主管理への転換である。

上記で述べたように、マンション管理会社は様々な合理化を図っている。自主管理の問題はそれらの業務を効率的にもれなく行えるかである。マンションの専門家でない者の集まりである管理組合は、どのような管理をすればよいのか、管理をしたがいいが後の会計処理や、書類等の保管はどうかなど、面倒くさい作業が沢山あり、それらをやるだけでも大変なのに本当に効率的にできるのであろうか。

それがITの力によって、できるようになった。

管理会社のノウハウが詰まったマンションの自主管理用アプリが販売された。

私も、説明を聞いたが、私の経験上必要と思われる管理業務が網羅されていた。素人にはわかりにくい複式簿記の入力作成や定期総会の資料の作成なども含まれていた。マンション住民間のトラブルなどは一般化できないため、含まれていないが、この点はマンション管理士に顧問や外部理事に委託することで解決できよう。マンション管理士のコストを入れても管理会社に委託するより、安そうだ。

加えて、清掃作業や植栽作業、日常の修繕などもマンションの地元の業者に頼めば、マンション管理業者の下請け業者より安そうだ。

近い将来、管理会社がいらなくなる時代が来るかもしれない。

現在は自主管理マンションは全体の1割しかないが。

マンション生活アドバイザー

HAJIME

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